IDA東京メンバー・福井工大の中城教授が進める、人工衛星で街明かりを観測する計画が、福井新聞に掲載されました。
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Photo by Coral-foundation Iriomote inc.
IDA本部による英文リリース(2018.4.1)
First International Dark Sky Place Established In Japan
※以下、日本語訳(一部、IDA東京が補足を追加)
西表石垣国立公園(沖縄県)が、ダークスカイ・パーク(星空保護区のカテゴリーの一つ)に認定されました。国際ダークスカイ協会(IDA)による「星空保護区認定制度」の認定を受けた日本初の地域であり、アジア全体でも2番目の認定です。
スコット・フィーラベンド氏(国際ダークスカイ協会エグゼクティブ・ディレクター)「日本初となる星空保護区を本日発表できることを、大変うれしく思います。暗い夜空の価値に対する日本の方々の意識が高まっているという重要なサインであり、同じような保護区がアジアでさらに広がっていくことを期待しています。」
日本の南端、八重山諸島に位置する西表石垣国立公園は、約406.53平方キロメートルの陸域面積をもちます。台湾からは東に約270キロメートルの距離で、亜熱帯特有の自然景観が広がっています。サンゴ礁に囲まれた島々には、数多くの希少な動植物が生息しており、その中には自然のままの暗闇を必要としているヤエヤマヒメボタル(八重山の固有種)も含まれます。
越智信彰氏(国際ダークスカイ協会東京支部代表、東洋大学准教授)「日本は世界の中でも特に夜が明るい国の一つです。今回の認定によって、日本の多くの人々が明るすぎることの問題点に気づき、また自然の夜空の美しさ・自然の暗闇の大切さを再認識するきっかけになってほしいと思います。」
IDAは、同国立公園の特殊な状況から、現時点では“暫定” 認定としました。石垣市と竹富町の2つの自治体から成る八重山諸島では、約5.4万人の人々が生活を営んでおり、そのうち9割が、八重山地域の商業・輸送の中核を担っている石垣市の住民です。国立公園内は非常に暗い夜空が保たれていますが、居住地域からの人工光は大きな課題です。
星空保護区の審査過程において、自治体は、自治体管理の全ての屋外照明について、光害を抑えるための「屋外照明管理計画」に準拠させることを約束しました。改修が必要な屋外照明は多数ですが、暫定認定の取得により、予算の確保や改修作業がスムーズに進むことが期待されます。
屋外照明の改修は、観光業に大きく依存している島々の夜間環境の改善に貢献することでしょう。地元では、国立公園内での星空観賞をツアーに組み込んだアストロ・ツーリズムが盛んになりつつあります。この好機を逃さず、自治体・市民団体・住民有志らが手を組んで、暗い夜空の重要性や、誘客に繋がることを理解してもらうための取り組みが続けられてきました。
その取り組みにより、屋外照明が国立公園の夜間環境に及ぼす影響について、住民の意識が高まりました。自治体は照明改修計画を整備し、2023年度までに国立公園内の全ての屋外照明を、光害対策型に改修することを決定しました。
上野貴弘氏(石垣市、星空ツーリズム株式会社 代表取締役)「八重山諸島の星空が国際的に認められたことは大変光栄です。日本初の星空保護区として、人の暮らしと星空や夜の生態系が共存する街づくりをリードし、暗い夜空の価値を国内外に発信できればと思います。」
紹介ページ: Iriomote-Ishigaki National Park (Japan)
Photo by ©Hoshizora Tourism Ltd.
申請時の記事・それまでの経緯は こちら
本プレスリリース前の速報は こちら
公式な認定日は、3月30日です。
(2018.4.16補足) アジア初の星空保護区は、英陽ホタルエコパーク(韓国、ダークスカイ・パーク、2015年10月認定)です。2017年9月にラモン・クレーター(イスラエル)がダークスカイ・パークに認定されており、これをアジアに含めれば、西表石垣国立公園はアジアで3番目となります。しかし、IDA本部はリリース文にてラモン・クレーターを「中東初」、西表石垣国立公園を「アジアで2番目」と発表しており、IDA東京もそれに従って記載しています。
【星空保護区認定制度について】
国際ダークスカイ協会が2001年に始めた「ダークスカイプレイス・プログラム」(和名:星空保護区認定制度)は、光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える制度です。認定には、屋外照明に関する厳格な基準や、地域における光害に関する教育啓発活動などが求められます。「ダークスカイ・パーク」「ダークスカイ・コミュニティ」など5つのカテゴリーがあり、全てのカテゴリーの認定地を総称して、国内では「星空保護区」と表記しています。
星空保護区認定制度ウェブサイト http://www.darksky.jp/hogoku
星空保護区認定制度に関する問い合わせ先は こちら
【国際ダークスカイ協会について】
国際ダークスカイ協会(IDA)は、光害問題に対する取り組みで先導的な役割を担う組織として、世界中で広く認知されています。1988年に設立され、米国アリゾナ州ツーソンにある本部と、世界18ヵ国の64支部(2018.3現在)を有するNPO団体です。
国際ダークスカイ協会ウェブサイト http://www.darksky.org/
光害問題を啓発、13年目を迎える “GLOBE at Night”(グローブ・アット・ナイト)
- 無駄な人工光を減らし、夜空に星の輝きを-世界中で一般市民が星の見え方を観察・ウェブで報告し、夜空の明るさ世界マップを作ろうというキャンペーン “GLOBE at Night” が、1月6日から始まります。アメリカ国立光学天文台・国際ダークスカイ協会らが実施する本キャンペーンは、今年で13年目を迎えると共に、環境省の星空観察推進事業とも連携が開始されました(参考:環境省報道発表資料)。日本国内では国際ダークスカイ協会東京支部(IDA東京)が日本語サイトの運営・プロモーションを担当しています。
- 星を見えにくくし、生態系や人体にも悪影響を及ぼす光害-人工照明により夜空が明るく照らされる「光害」により、都市部では美しい星空を見ることができません。また、無駄な照明はエネルギーの浪費であると同時に、夜間の照明が生態系の破壊や人体への悪影響にも繋がっていることが指摘されています。
- 世界中から1万5千件以上の報告があるシチズンサイエンス・プロジェクト-光害問題の啓発と、星空保護・地球環境保護の意識向上を目指した本キャンペーンは、一般の方からの観察報告を募集しています。決められた日時に屋外に出て夜空を眺め、対象星座周辺の星の見え方(どれだけ多くの星が見えるか)が、用意された8枚の星図のどれに一番近いかを、スマホやパソコンで報告します。昨年は世界106ヶ国から計15,300件超の観察報告が集まりました。今年も観察期間は1~12月の毎月、月明かりの影響のない10日間ずつが設定されています。1月は6~15日で、オリオン座が観察対象です(北緯40度以上の地域では、おうし座でも報告可能)。
- GLOBE at Night 日本語ウェブサイトは http://www.darksky.jp/gan/
天文雑誌「星ナビ」に、環境省の「星空観察の推進手法に関する検討会」などについての執筆記事が、2回にわたって掲載されました。ぜひご覧ください。
2017年9月号『今月の視天「暗い夜空を守る光害対策が活発化」』
http://www.astroarts.co.jp/shop/showcase/magazine/2017/09/index-j.shtml
2018年2月号『「星空観察」復活 光害防止の意識拡大に期待』
http://www.astroarts.co.jp/shop/showcase/magazine/2018/02/index-j.shtml
NHKコズミックフロントNEXT「宇宙の街紀行」2017年3月放送分で、ダークスカイプレイス・プログラムで認定を受けたウエストクリフ・シルバークリフが取り上げられました。
以下のページで、3分間の動画を見ることができます。
http://darksky.org/idsp/communities/thecliffs/
また、同「宇宙の街紀行」バックナンバー2015年12月放送分で、ダークスカイプレイス・プログラムで世界初認定となったアリゾナ州フラッグスタッフが取り上げられています。
http://www.nhk.or.jp/space/cfn/kikou/151217.html
NHKコズミックフロントNEXT ウェブサイト
http://www4.nhk.or.jp/cosmic/
European Dark Sky Places Conference(第1回欧州星空保護区会議)が、2017年9月20~22日にスコットランドのギャロウェイ(Galloway) で開催されます。IDAが認定した世界各地のダークスカイプレイスの代表者、および環境学者、天文学者、照明関係者、建築関係者などが一同に集う会議となります。インターネット中継も予定されています。会場は、2009年に欧州で初めてのダークスカイ・パークに認定されたギャロウェイ森林公園(Galloway Forest Park) に程近いホテルです。
光害啓発のための、夜空の明るさ世界同時観察キャンペーン「GLOBE at Night」
2017年も、下記の(月光の影響のない)期間に開催されます。ぜひご参加ください。
1月19日(木)~28日(土)(対象:オリオン座)
2月18日(土)~27日(月)(対象:オリオン座)
3月20日(月)~29日(水)(対象:しし座)
4月18日(火)~27日(木)(対象:しし座)
5月17日(水)~26日(金)(対象:しし座)
6月16日(金)~25日(日)(対象:ヘルクレス座)
7月15日(土)~24日(月)(対象:ヘルクレス座)
8月14日(月)~23日(水)(対象:ヘルクレス座)
9月12日(火)~21日(木)(対象:はくちょう座)
10月11日(水)~20日(金)(対象:はくちょう座)
11月10日(金)~19日(日)(対象:ペガスス座)
12月9日(土)~18日(月)(対象:ペガスス座)
GLOBE at Night 日本語サポートページは こちら